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「Entertainment in Real Life」を世界規模で実現するために。コロプラが描くゲーム事業戦略

AI記事要約

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取締役 上席執行役員 COO, Games

坂本 佑

大手ゲームメーカーにエンジニアとして新卒入社し、プランナー/ディレクターとしてアミューズメントゲームやソーシャルゲームの開発に従事。2013年にコロプラへ入社。現在は、開発・運営・マーケティングを含むゲーム事業全般を統括している。

スマートフォンゲーム市場の成熟、グローバル競争の激化、生成AIの急速な進化、そしてプラットフォームの多様化。ゲーム業界を取り巻く環境が大きく変化するなか、コロプラは中期経営方針として「Global Top 20」を掲げ、次の成長に向けた挑戦を進めています。

コロプラの原点でもある位置情報を活用したゲーム「位置ゲー」、AIをゲーム体験そのものに組み込む「生成ゲーム」、作品の魅力を広げるマルチプラットフォーム展開、そしてグループ各社とのシナジー。これらの取り組みを通じて、コロプラはどのような未来のゲーム体験を描いているのでしょうか。

ゲーム事業全般を管掌する取締役 上席執行役員 COO, Gamesの坂本佑に、事業戦略、海外展開、マーケティング、組織づくり、そしてこれから求められる人材像について聞きました。

コロプラが描く「Global Top 20」への挑戦

現在のゲーム市場を、どのように見ていますか?

現在のゲーム市場は、非常に成熟してきていると感じています。特にスマートフォンゲームにおいては、優れたタイトルが数多く存在し、お客さまが日々触れられるコンテンツの量も増えています。その結果、単に品質が高いだけでは手に取っていただくことが難しくなっているのが現状です。

さらに今、私たちが向き合っているのはゲーム同士の競争だけではありません。SNSや動画配信サービスなど、あらゆるエンターテインメントがスマートフォンの画面の中で、お客さまの貴重な『時間』を奪い合っています。

もちろん、そうした中で特定のタイトルを長く遊んでいただいていることは大変ありがたいことです。一方で、エンターテインメントである以上、お客さまの熱量や関心は少しずつ変化していきます。だからこそ、新しいタイトルや新しい体験を届け続けることが重要になります。

ただし、既存の成功パターンをなぞるだけでは、お客さまに「遊んでみたい」と思っていただくことは難しい。グラフィックのリッチさだけで差別化するのではなく、そのゲームだからこそ得られる体験をどう設計するかが、これまで以上に問われていると思います。

そうした市場環境の中で、コロプラは「Global Top 20」を掲げています。この目標にはどのような狙いがありますか?

「Global Top 20」(連結売上高1,000億円、営業利益500億円目安)は、単なる「規模の拡大」を目指すものではありません。私たちの根幹であるミッション「"Entertainment in Real Life" エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく、そしてビジョンである「最新のテクノロジーと、独創的なアイデアで”新しい体験”を届ける」が、世界規模で実現された状態を定量化したものです。

コンテンツが飽和し、全エンタメが競合となる時代だからこそ、このミッションに愚直に向き合い、世界中のお客さまに唯一無二の体験を届ける必要があります。そのための具体的な戦略として、「海外市場への積極的展開」「有力IPの活用」「新しいUXの提供(唯一無二のものづくり)」という3つを強力に推進しています。

そして、この3つの戦略を形にする上で重要になるのが、『コロニーな生活』、スクウェア・エニックスとの共同開発タイトル『ドラゴンクエストウォーク』など、コロプラが長年培ってきた「位置ゲーの知見」と、進化する「生成AI」を活用した新しいゲーム体験です。これらのかけ合わせによって、世界中のお客さまの日常を豊かにする、前例のないエンターテインメントを生み出していくことができると考えています。

世界へ広げる鍵は、日常に入り込む体験づくり

3つの戦略の筆頭に挙げられた「海外市場への積極的展開」について、具体的にどのように推進していくのか、詳しく聞かせてください。

世界中のお客さまに向けて「Entertainment in Real Life」を体現し、新しい体験を届けていくうえでは、地域ごとの市場性や文化、プレイスタイルの違いを理解することが欠かせません。そのうえで、コロプラならではの強みをどの地域で、どのような形で届けるのかを見極めていく必要があります。

現在、特に重要な市場として見ているのは北米と日本を含むアジアです。北米ではすでに位置情報を活用したゲーム体験が大きな市場を形成しており、リアルと連動する遊びに対する受容性があります。また、日本を含むアジア圏でも、日常の移動や生活導線と結びついたゲーム体験は、文化的な親和性も含めて多くのお客さまに受け入れられてきた実績と、まだまだアプローチできる大きなポテンシャルがあります。

一方で、地域によっては規制や地図サービスの違いなど、位置ゲーを展開するうえで乗り越えるべき課題もあります。たとえば中国では、制度面や地図サービスの事情から、位置情報を活用したゲーム展開には慎重な検討が必要です。

だからこそ、単に日本で成功したものをそのまま海外に持っていくのではなく、各地域の環境やお客さまの期待に合わせながら、コロプラならではの“新しい体験”を届けることが大切だと考えています。

それぞれの地域に最適化させていく中で、コロプラの最大の強みである「位置ゲー」は、海外市場で具体的にどのような可能性があると考えていますか?

位置ゲーは、コロプラにとってまさにアイデンティティとも言える重要な領域です。スマートフォンを持って移動すること、場所ごとに違う体験が生まれること、日常の行動そのものが遊びになること。これは、モバイルだからこそ成立するゲーム体験だと思っています。

今のゲーム市場には、家でじっくり遊ぶPCやコンシューマーの深い没入体験など、様々な選択肢があります。その中で位置ゲーは、日常生活の中にゲームが入り込める点が大きな特徴です。通勤や通学、散歩、旅行といった、これまでゲーム時間ではなかった時間が、ゲーム体験に変わっていく。そこに大きな可能性があります。

海外市場を攻略する上では、先ほどお話しした北米のような「位置情報の遊び」が浸透している土壌に加え、「有力なIP(知的財産)」との掛け合わせが極めて重要なテーマになります。グローバルで広く認知され、愛されているIPの世界観を、私たちの位置ゲーのノウハウと融合させることで、世界中の一層多くのお客さまへ爆発的に新しい体験を届けることができると考えています。コロプラは『コロニーな生活』や『ドラゴンクエストウォーク』といった、リアルとゲームをつなぐ体験に長年愚直に取り組んできました。これまで培ってきた技術やノウハウを、次はグローバル市場でどう活かすか。それが「Global Top 20」に向けた大きな勝ち筋のひとつになると考えています。

(株式会社スクウェア・エニックスより提供、開発:コロプラ)

前例のない体験価値を、どう伝え、育てていくか

「位置ゲー×有力IP」や「生成AIの活用」など、前例のない新しい体験価値を世界に広げていくうえで、マーケティングにはどのような役割があるとお考えですか?

 マーケティングは、単に「認知を広げるためのプロモーション活動」ではなく、私たちが形にした“新しい体験価値”を、お客さまに正しく紐解いて届けるための極めて重要な戦略的役割を持っています。

特に位置ゲーや生成AIを活用したゲームのように、新しいUXに挑戦する場合、その面白さは一言では伝わりにくいことがあります。まだ市場に明確な比較対象がないからこそ、お客さまにどのような体験なのか、なぜ今遊ぶ価値があるのかを丁寧に伝えていく必要があります。

また、新しい体験は、リリースして終わりではありません。お客さまの反応を見ながら、どこに期待があり、どこに不安があり、どの部分をより磨くべきなのかを把握していくことが重要です。マーケティングは、そうした市場やお客さまの声をプロダクトに反映する役割も担っています。

コロプラが目指しているのは、まだ顕在化していないニーズを見つけ、ゲームとして形にしていくことです。その意味で、開発とマーケティングは分断されたものではなく、新しい体験をお客さまに届けるために一体で考えるべきものだと思っています。

これはグローバル展開において、より顕著になります。先ほどお話しした北米やアジアなど、地域ごとにIPの認知度も違えば、日常の生活導線やゲームに求める期待も全く異なります。それぞれの地域のお客さまのライフスタイルに深く寄り添い、最適なコミュニケーションを設計していくこと。これこそが、世界中で「Entertainment in Real Life」を実現するためのマーケティングの役割だと考えています。

生成AIで広げる、ゲーム体験の可能性

先ほど戦略を支える重要な要素として挙げられていた、もう一つの挑戦として、生成AIを活用した「生成ゲーム」があります。AIはゲーム体験をどう広げると考えていますか?

生成AIは、ゲームのあり方を根底から変えるほどの大きな可能性をもたらす技術だと考えています。ただし、単なる効率化のためだけに使うのではなく、AIだからこそ生まれる体験をどう設計するかが重要です。

『神魔狩りのツクヨミ』では、金子一馬さんの画風を学習した独自の生成AI「AIカネコ」を活用し、ゲーム内のカードビジュアルを生み出すという取り組みに挑戦しました。これは、AIをゲーム体験そのものに組み込む「生成ゲーム」として注目された取り組みです。

一方で、生成AIの活用には慎重であるべき点もあります。著作権やセキュリティ、品質担保はもちろん、何よりお客さまが感じる不安や違和感など、真摯に向き合うべき課題は多くあります。コロプラとしては、そうした課題を軽視せず、クリアにしたうえで活用することが大前提です。

現時点では、AIにすべてを任せてゲームをつくるというよりも、クリエイターの創造力を広げるための手段として活用していく段階だと考えています。AIを使うことで、人の発想や表現がより広がり、これまで実現できなかった体験に近づける。そうした使い方を追求していきたいです。

ゲーム体験に生成AIを導入した生成ゲーム『神魔狩りのツクヨミ』

作品の体験価値を最大化する、マルチプラットフォーム展開

生成AIを活用した挑戦から派生する形で、コロプラ初となるNintendo Switch用ソフト『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』が発売されました。マルチプラットフォームへの展開は、どのような戦略的意図に基づく取り組みだったのでしょうか。

『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』は、コロプラにとって初のNintendo Switch向けタイトルとなりましたが、これはモバイルからコンシューマーへ事業の軸足を移すという方向転換を意味するものではありません。「作品の体験価値を最大化する」という考え方と、「より多くのお客さまが存在するグローバルマーケットへアプローチする」というビジネス戦略が合致した、必然の選択でした。

『神魔狩りのツクヨミ』において、生成AIを活用した新しい体験に挑戦する中で、金子一馬さんの世界観やアートを、よりじっくり味わいたいというお客さまの声を多くいただきました。そうした声を受けて、Nintendo Switchという形で作品の楽しみ方を広げたのが『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』です。

今後も、位置ゲーのようにスマートフォンだからこそ成立する体験はモバイルで磨き込んでいく一方で、物語や世界観に深く没入していただく作品については、コンシューマーやPCを含めたマルチプラットフォーム展開も選択肢になります。

大切なのは、プラットフォームの枠に固執せず、どうすれば世界中のお客さまに一番響く形で“新しい体験”を届けられるかです。今後は、アドベンチャーゲームや物語の作りに強いグループ会社の「MAGES.」とも連携をさらに深め、メディアミックスを含めた多面的なアプローチで、作品の表現と届け方を広げていきたいと考えています。

初のNintendo Switch向けタイトル 『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』

こうした複数の挑戦を進めるために、開発体制も再編されています。エンターテインメント本部とKuma the Bear本部には、それぞれどのような役割がありますか?

 世界中のお客さまへ「Entertainment in Real Life」を届け、ビジョンである“新しい体験”を社会に実装していくためには、確立された強みをグローバルで最大化する力と、まだ市場に存在しない未知の体験を最速で探索する力、その両方が不可欠です。その2つのミッションを高い純度で実行するために、開発体制を再編しました。

エンターテインメント本部は、グローバルで大きく支持されるタイトルを生み出し、育てていくための組織です。有力IPとの取り組みや、大規模な位置ゲープロジェクトを確実に推進していく力が求められます。

一方で、Kuma the Bear本部は、AIをはじめとした新しい技術を活用し、未知のUXを探索していく役割を担っています。まだ市場がはっきり見えていない領域に対して、仮説を立て、試し、体験として形にしていくことが重要になります。

自由な発想や挑戦は大切ですが、それだけでは事業として大きく育てることはできません。逆に、事業としての確実性だけを重視すると、新しい体験は生まれにくくなります。両方を実現するための体制として、今回の組織再編があると考えています。「確実な拡大」と「未知の探索」──相反するようで見据える未来は同じであるこの両輪を、高い次元で成立させるための体制が、今回の2本部制です。この再編によって、コロプラの強みと未来の技術の掛け合わせを、さらに加速させていきます。

MAGES.、エイティング、ピラミッドなど、グループ各社との連携は今後どのように活きていきますか?

グローバルマーケットで勝負し、多様化するお客さまの期待を超えていくためには、コロプラ単体の力に固執せず、グループ全体の専門性を掛け合わせることが重要だと考えています。

コロプラ本体には、モバイルゲームで培ってきた開発・運営のノウハウや、位置ゲーに関する知見があります。一方で、MAGES.には世界観の構築や物語の作り込み、メディアミックスのノウハウがあり、エイティングにはコンシューマーをはじめとする多様なプラットフォームでの高い技術力、ピラミッドには、特定ジャンルにおける熱狂的なファン層を惹きつける開発力があります。

これらを単にひとつにまとめるのではなく、各社の強みを活かしながら、作品ごとに最適な形で組み合わせていくことが大切です。『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』のように、コロプラだけでは広げきれなかった領域も、グループ会社の知見と組み合わせることで、より多面的に届けられるようになります。今後は、モバイルで磨くべき体験はコロプラがさらに尖らせ、コンシューマーやPC、メディアミックスなどに広げるべき作品はグループ全体の力を活かして展開していく。各社の独立した個性を尊重しながらも、エンターテインメントの可能性を最大化させる強固な連動体制を、さらに強めていきたいと考えています。

ウェアラブル時代に広がる「Entertainment in Real Life」

5年後、10年後のエンターテインメントやゲーム体験はどのように変化していくと見ていますか?

今後のゲーム体験、ひいては人類のライフスタイルを劇的に変える可能性として、ウェアラブルデバイスやスマートグラスには大きな可能性を感じています。

現在は、あらゆるプラットフォームに良質なコンテンツが溢れ、お客さまの「可処分時間の奪い合い」が起きているとお話ししました。しかし、スマートグラスのような革新的なデバイスが日常に溶け込む時代が来れば、画面を覗き込むという従来のスタイルそのものが過去のものになり、体験の前提がガラリと変わります。

特に、私たちが今まさに挑戦しているAI技術がさらに進化し、高度なリアルタイム画像認識や映像処理と組み合わされば、現実世界とバーチャルが完全に融合した、これまでにない自然なゲーム体験が生まれるはずです。そして、コロプラが長年培ってきた「位置ゲーの知見」や「XR(現実拡張)のノウハウ」こそが、このウェアラブル時代において最も強力なアドバンテージになると確信しています。

コロプラのミッションである「Entertainment in Real Life」は、エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしくするという考え方です。スマートグラスのようなデバイスが普及すれば、街を歩くこと、誰かと出会うこと、そして日々の生活そのものが、シームレスに価値あるエンターテインメントへと変わっていく。これこそが、私たちの目指すミッションの究極の姿です。

私たちは、飽和しつつある現在の市場に最適化するだけで満足するつもりはありません。テクノロジーの進化を先読みし、お客さま自身もまだ気づいていない潜在的なニーズを掘り起こしながら、世界中の誰も見たことのない“新しい体験”を自ら創り出していく。それこそがコロプラらしい『意志ある挑戦』であり、私たちがグローバルで選ばれ続けるための、最大の原動力であると思っています。

そうした未来のゲーム体験を実現していくうえで、これからのコロプラにはどのようなマインドを持った仲間が必要だとお考えですか?

「Global Top 20」を実現していくには、会社としての戦略や組織体制だけでなく、一人ひとりが自分の役割に向き合い、目標にコミットしていくことが欠かせません。そうした考え方のもと、コロプラでは新たな人事ポリシーとして「意志ある挑戦を、ともに進める組織へ」を掲げています。

これからのゲームづくりでは、過去にどの領域で経験を積んできたか以上に、変化に対して柔軟でいられることが大切になると思っています。特に生成AIのように、技術そのものが短いスパンで進化していく時代には、これまでのやり方に固執せず、新しい技術を素直に学び、自分のものづくりにどう活かせるかを考えられる姿勢が重要です。

実際に『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』の開発でも、モバイルゲーム出身、コンシューマーゲーム出身といったバックグラウンドの違いにかかわらず、多様な経験を持つメンバーが力を発揮しました。

AIについても、単に効率化のために使うだけではなく、自分の創造力を広げるための手段として向き合える人が、今後ますます活躍していくと思います。

技術や市場の変化を前向きに捉え、まだ見ぬゲーム体験を一緒につくっていける方と、ぜひ一緒に挑戦していきたいです。