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コロプラの「現在地」を発信するメディア

主役はクリエイター、AIは支える存在。コロプラの「新しいゲーム体験」への挑戦

AI記事要約

菅井 健太のプロフィール画像

上席執行役員 CIO(Chief Information Officer)

菅井 健太

旅行用ウェブサイトのサーバーサイドエンジニアとして活躍後、2010年にコロプラに入社。サーバーサイドエンジニアとして10タイトル以上のローンチに携わり、負荷対策チームのリーダーを務める。プロダクトマネージャーを経験後、2017年に取締役に就任。現在は、上席執行役員 CIOと技術基盤本部・本部長を兼務し、AIの推進・活用を指揮している。

山田 和毅のプロフィール画像

CIO室 AIイネーブルメントグループ マネージャー

山田 和毅

2017年コロプラに新卒入社。新作タイトルの開発や既存タイトルの運営を経て、技術広報やCOLOPL Tech Blogの運営にも携わる。現在はAIイネーブルメントグループで、全社的な業務効率化、エンジニア生産性向上を目指し、さらなるAI活用に取り組む。

マスクド・アナライズ のプロフィール画像

インタビュアー

マスクド・アナライズ 

AIスタートアップ社員として、SNSを通してAIに関する情報発信で注目を集める。同社から独立後、生成AIの導入活用支援、イベント・セミナー登壇、社内研修、書籍・記事の執筆を手掛ける。支援実績はパナソニック、北海道庁、日立製作所、JR西日本など。著書は「会社で使えるChatGPT」など4冊。

コロプラではAI活用を推進しており、社内のAI活用率が98%に達しています。その根底にあるのは、「主役はあくまでクリエイターであり、AIはそれを支える存在」という考え方です。長年ユーザーさまから親しまれているタイトルには安易にAIを使わない一方、AIを前提とした新しい体験づくりには、タイトルを選んで挑戦する——そんな使い分けの先に、これまでにない新たなゲーム体験が生まれつつあります。そこで今回はコロプラにおけるAIの現状と将来について、生成AIの情報発信を行っているマスクド・アナライズ氏をインタビュアーに迎えて、CIOの菅井 健太さんとAIイネーブルメントグループの山田 和毅さんに、お話を伺いました。


コロプラにおけるAI導入のきっかけ

マスクド

私は生成AIに関する記事や本を書いたり、企業やキーパーソンへの取材も行っています。今回はコロプラさんにて、AI活用についてお伺いする機会をいただきました。まず、お二人はコロプラ社内において、どのような形でAIに関わっておられますか。

菅井

CIOという役職でAIを含む全社の情報システムを統括しています。特にAIについてはモデル選定から事業への展開までを担当しています。


山田

2017年に新卒入社して、2022年末頃からAIの活用推進に携わっています。2026年4月からCIO室のAIイネーブルメントグループという、社内のAI活用推進チームのマネージャーを担当しています。


マスクド

2022年の年末は、ChatGPTが発表された頃ですね。ChatGPTは登場直後から、コロプラの社内で注目されていたのでしょうか。

菅井

当時公開されたGPT-3.5において、チャット形式かつ従来のAIとは一線を画す性能が衝撃的でした。既に社内でイラスト生成AIのStable Diffusionなども調査しており、その流れで技術に明るいメンバーが集まって、「ChatGPTは試しておくべきだ」と危機感を抱きました。そこからAIの導入・活用を進めています。

コロプラにおけるAIの方針

マスクド

ChatGPTの登場から3〜4年が経過して、コロプラにおけるAIの利用状況などはどのように変化してきましたか?

菅井

最初はエンジニアを中心に、プログラミングを支援するClaude CodeやAIエージェントの活用が広がり、その後は組織全体に広がっていきました。ただ、活用状況は部署によって差があります。だからこそAI利用の方針やルールは個人任せにせず、組織全体として推進しなければならないと考えています。特にバックオフィスは、AIエージェントによって働き方や担当範囲も変わっていくはずで、業務の見直しとあわせて方針を整えているところです。また、特定のAIが使えなくなる事態も想定して、一つのモデルに依存しない体制づくりも進めています。

マスクド

社内のAI活用推進を担うAIイネーブルメントグループは、どのような役割ですか?

菅井

組織の中でAIを使おうとすると、必ず権限の問題が付きまといます。例えば個人の環境で動くAIエージェントが、プロジェクトチームでは動かせなかったり、クラウドのような技術的な障害もあります。こうしたAIの前にある「壁」を認識して、一つずつ取り払っていく仕組みづくりを担うのがAIイネーブルメントグループです。

山田

そのミッションは大きく2つあります。1つ目は「AI"で"できることを増やす」。ツールや使い方を広げて、社員一人ひとりがAIに任せられる仕事を増やすことです。

2つ目が「AI"が"できることを増やす」。権限を適切に管理したうえで、AIがアクセスできるデータや、AIが実行できる操作の範囲を広げるなど、いま菅井が話した壁を無くしていくことです。

特に2つ目はまだ道半ばで、各プロジェクトで開発環境が異なっていたり、業務フローに非効率な面があったりと、AIが進化してもできることを増やしにくい状況があります。そこで壁を取り払って、例えばエンジニアなら自分でMCP(Model Context Protocol。AIが外部のデータやツールに接続するための規格)を作って利用したり、各プロジェクトに特化したAIエージェントを運用できる、といった環境を作りたいです。

マスクド

前例がない中でAIの導入・活用を推進するのは、苦労もありましたか?

山田

エンジニア向けにCopilotを提供していましたが、2026年6月にプランの課金体系が変わり、実質的に従量課金制になりました。使う人が増えるほど費用が読みにくくなるため、方針を切り替えて、積極的に利用するエンジニアにはClaude Codeに移行してもらうことになりました。

エンジニアにとって使い慣れたツールを変更するのは負担になりますが、以前から続けてきたAI活用推進チームの支援に加えて、社員それぞれがSlackで使い方を発信してくれていたこともあって、Claude Codeに関する知見が蓄積されていました。そのおかげで、Copilotを利用していたエンジニアもスムーズに移行できました。

マスクド

エンジニア以外の職種で、AIを活用されている事例はございますか。

山田

エンジニア以外も、Claude CoworkやOpenAI CodexなどのAIエージェントを活用しています。特にマーケティング部門からはCursorを利用したいという要望がありました。企画のたたき台を整えながら、「どんな調査が必要か」「他社事例との違いは何か」などをAIと対話しながら整理して、段階的に整えるツールとして利用されています。また、Cursorを使ってドキュメント検索ツールを構築し、プロジェクト内の情報共有を大幅に効率化した例もあります。従来は10分程度かかっていた検索が1分程度で終わるようになるなど、効率化を実現しています。

組織におけるAI普及に必要なこと

マスクド

会社でAIを導入したものの、活用が進まなかったり、成果が出ないという問題があります。コロプラではどのような取り組みで、成果を出していますか。


菅井

簡単なものでは、積極的に参加できる環境づくりです。例えばSlack内にあるAIチャンネルに数百名が参加していると、自然と発言者が固定化されます。そこでチャンネルを分けて、ローカルLLMや特定のモデルだけの話題に分ければ、各チャンネルで発言をしてくれる人が出てきます。「自分には関係ない」と思われると関心が途切れてしまうので、各チャンネル内で事例共有などによる学びを続けてもらっています。

また、役員向けにもAI研修を実施して、全員が最新のモデルや機能を体験することで、それぞれの役員が、AIで何ができるかを各部門の業務に落とし込まないと、共通認識が生まれません。これを現場任せにせずトップダウンでも進めています。


マスクド

AIを使いこなすことが重要である反面、時間や費用などの負担もあります。コロプラとして、どのような支援を行っていますか。

山田

ChatGPT、Gemini、Claudeを自由に使える環境がありますし、エンジニアが試してみたいツールがあれば、利用申請を出せば審査して使える体制が整っています。この申請はセキュリティなどの問題がなければ10分程度で承認できるので、最新のAIやLLM(大規模言語モデル)を試しながら業務に反映できます。ツールを配るだけでは定着しないので、Slackでの事例共有を続けていて、部署ごとの説明の場にも直接足を運んでいます。個別の相談があれば、課題の整理から小さく試すところまで一緒に進めています。

また、トークン(注:AIの処理における単位)の使用量については、制限をかけず自由に利用できる環境にしたいです。現状は利用状況を分析しながら、より上位のプランが必要な人を特定して、アップグレードを提案するシステムを運用しています。今後はこの流れを自動化しながら、積極的に使いたい人を後押ししつつ、利用状況に合わせてプランを見直すといった仕組みを構築していきたいですね。

マスクド

こうした取り組みのおかげで、全社におけるAI活用率が98%を実現したのですね。

AI利用の見極め

マスクド

コロプラはAI利用に積極的な一方で、長年ユーザーさまから親しまれているタイトルには「安易にAIを使うことはしない」という姿勢を取られています。対して『神魔狩りのツクヨミ』や『アクティブシネマRPG 369(ミロク)』のように、AIを取り入れた作品にも取り組まれています。組織としてAIを活用する上で、絶対に守っている点などはございますか?

菅井

コロプラのAI利用では、創作の主体は人であることを前提としています。「何をつくるのか」「何が面白いか」「コロプラらしい価値とは」。そこに責任を負うのは、常に人です。

やはり最終的に人間が作る以上、コンテンツを提供する上で、クリエイター自身が責任を持って出すという点は絶対に忘れてはいけません。これはAIを使うか使わないかにかかわらず、コロプラとしてユーザーの皆様に提供する上での大前提であり、絶対に譲れないし変わりません。それを踏まえて、組織としての方針を定めており、基本的なルールとなるガイドラインや、問題を未然に防ぐガードレールの整備を進めています。

マスクド

一方で、新しいAIツールは次々と登場しますし、プログラミングから画像生成まで用途もさまざまです。現場では、何を基準に「使う・使わない」を判断しているのでしょうか。

菅井

各ゲームタイトルや職種によって変わってきます。AIを利用する場合でも、プログラミングなのか、運営なのか、画像や動画の生成なのかで、考慮すべき点が変わるからです。以前は「このデータをこのAIに渡していいのか」を案件ごとに議論していたのですが、新しいツールが次々に出てくる中で、それでは追いつかなくなりました。

そこで判断の基準を一つに絞ったんです。それが「入力したデータがAIに学習されるかどうか」。コロプラのクリエイティブ資産や機密情報が学習されて外に流れることだけは、絶対に避けなければなりません。だから学習されないツールは原則利用OK。学習されるツールも一律禁止にはせず、実質的なリスクと、早く使い始めるメリットを見比べて判断しています。

この基準にしてから、使う・使わないの判断がとても速くなりました。ただ、こうした基準や仕組みはあくまで土台です。主役は人間のクリエイターやエンジニアであり、AIはそれを支える存在です。AI活用も「省力化して人の作業を減らす」ではなく「人が取り組むべき新しい体験を届けるため」という目的があります。こうした基準も、状況に合わせて常に見直しながら運用しています。

AIで変わるゲーム開発

マスクド

ゲーム開発においてAIを活用する中で、どのような変化が現れていますか?

菅井

例えば追加コンテンツの試作において、同じ人数や工数で倍の量を試せるようになりました。もちろん単純に仕事量が2倍に増えたわけではありませんが、ユーザーさまにより楽しいコンテンツを届ける機会が増えたことは前向きに捉えています。

他にも会議中に試作を作って、その場でスタッフ同士で手触りを確かめるというケースも増えています。どうしてもゲームでは触ってみないとわからない面があり、AIによって試行錯誤できる場面が増えたことが大きいと考えています。

マスクド

ユーザーさまが喜ぶ遊び方やコンテンツは簡単に決められませんね。今までは3個の案から選んでいたのが、5個や10個に増えて最も満足度の高いものを選べるようになるイメージですね。

菅井

新たなコンテンツの試作や、AIを取り入れて開発しているタイトルでは、、試す回数を増やせることはコロプラの価値向上にもつながります。この点は我々がやりたいことに対して、AIとの親和性が高いとも言えます。特にクリエイターにおいて、企画立案から試せる機会が増えるのは好循環になるでしょう。

マスクド

AIを活用することで、今までにない新たなゲームをユーザーさまに提供できるという期待もありますね。

菅井

AIをどう取り入れるかは、タイトルごとに慎重に判断しています。ゲーム体験そのものにAIを据えた例が、2025年にリリースした『神魔狩りのツクヨミ』です。生成AIをゲーム体験の核に据えた作品でした。コンセプトプランナーである金子一馬が入社後に描いた絵だけを学習させた画像生成AI「AIカネコ」が、プレイヤーのゲーム内での選択をLLMで解釈し、その人だけのカードイラストを生成して届ける仕組みです。繰り返し遊ぶたびに唯一無二のカードが生まれる、いわばパーソナライズですね。

世界観の上でも金子本人を「本物の神」、AIカネコを「偽の神」と位置づけ、AIの生成物はあくまで模倣であり、本人の創造性には及ばないという考え方を作品そのものに織り込みました。あわせて通報機能や取り下げを要望できる仕組みも用意し、安心して遊べる体制を整えています。この体験は2026年4月発売のコンシューマーゲーム『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』にも部分的に引き継がれています。このようにゲーム体験へのAI活用は、タイトルを限定し、コンテンツの性質やお客様の受け止めを見ながら調整を重ねている段階です。

ゲーム体験に生成AIを導入した生成ゲーム『神魔狩りのツクヨミ』

また、2026年9月にリリースした『アクティブシネマRPG 369(ミロク)』は、制作手法にAI技術を取り入れた作品です。ゲーム体験としてAIを使うツクヨミとは、また違うアプローチになります。

AI技術を制作に取り入れた『アクティブシネマRPG 369(ミロク)』

既にゲーム以外のエンタメが増えており、ユーザーさまに時間を割いてもらえる価値が問われます。ゲームを通じたコミュニティに人々が集まって、ユーザーさまにとって自分だけの体験ができることに価値が出てくるでしょう。

その点、AIのランダム性が合っていると思いますし、今までは体験したことがないゲームを出せるのではないかと考えています。

マスクド

ゲームやAIに限らず、テクノロジーの進化がエンタメ全体を変えていきそうですね。

菅井

僕はARグラスを持っていますが性能が向上しており、将来には、今は想像できていないものが出揃ってくるだろうと感じています。こうした技術の進化には、作り手としてすごく期待しており、今までにないエンタメが登場するかもしれませんね。まだ見たことのない体験を楽しみにしてください。

読者に向けたメッセージ

マスクド

最後に記事の読者やクリエイター、エンジニアの方々に向けて、メッセージをお願いします。

山田

AI活用を推進する中で、挑戦的な取り組みができる環境が整いつつあります。そしてコロプラは意思決定が早く、AI以外でも活躍できる機会が多くあります。現状を完成形と思わずに今後もAI活用や環境整備をさらに進めていくので、ぜひこれを読んでいる皆さんと一緒に挑戦したいです。

菅井

AIは手段であり、その手段を使うことでいろんなエンターテインメントを創造できると思います。今は、プログラムを書いたり、音楽や画像、動画を作ったりと、エンジニアやクリエイターがAIとの相性を試している段階とも言えます。そして将来において、見たことがない新たな体験をユーザーさまにお届けできることが、コロプラの理念とも合致しています。

「今までにない何かを実現したい」という想いがある人ほど活躍できる時代になりつつあり、自分の表現を実現できる環境が整っています。コロプラはそんな想いを持つ人たちにとって魅力的な職場なので、この記事を読んで関心を持ってくれた方々と一緒に新たな体験を作り上げたいと思っています。

この記事を担当した人

マスクド・アナライズのプロフィール画像

インタビュアー・ライター

マスクド・アナライズ

生成AIの導入活用支援、イベント・セミナー登壇、社内研修、書籍・記事の執筆を手掛ける。 著書「会社で使えるChatGPT」など4冊を執筆。

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