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※(こちらは2025年10月3日Cocoda掲載の弊社紹介記事を、一部修正し転載したものです)
コロプラで、10年以上続くIPである「白猫プロジェクト」など多数のゲームタイトルでUIのデザインを担うtanuと、イベントなどのコミュニケーションのクリエイティブ制作を行う横断クリエイティブグループで働くsaketobaです。
白猫プロジェクトでは、ゲーム内で年間20以上ものイベントが開催されており、このすべてを自社で企画・制作しています。さらにイベントに合わせて、ゲーム外でもユーザーのみなさまに楽しんでもらえるように企画します。
今回は私たちが日々考えている、10年以上続くIPだからこそ大事にしたい「ユーザーのみなさまに楽しんでいただくための工夫」について、クリエイターとして取り組んでいることの裏側をまとめていきます。

白猫プロジェクトとは
「白猫プロジェクト」は、コロプラが開発・運営するスマートフォン向けアクションRPGで、2014年7月にリリースされました。

白猫という愛称でユーザーのみなさまに親しまれ、リリースから約3年で1億ダウンロードを突破。2025年には11周年を迎えました。

現在白猫は、本編の「白猫プロジェクト」に加えて、「白猫テニス」「白猫GOLF (ゴルフ)」といったスピンオフ的なゲームタイトルも展開しIPとして成長することができています。

10年以上続く「白猫」で、1人ひとりに寄り添った体験を
「白猫プロジェクト」では、ユーザーのみなさまに楽しみ続けてもらうために、年間20以上ものイベントを開催しています。

このイベントを考える時には、11年という歴史を持つ白猫において「ユーザーのみなさまは1人ひとり異なる思い出を大切にされている」ということを強く意識しています。
昔から続けて楽しんでいただいている方、ここ数年で白猫を始めていただいた方、など白猫ユーザーと一口に言ってもさまざまなタイプの方がおられます。
私たちは、できる限り、どんな方であっても白猫を楽しんでもらえるように企画を考えています。

白猫のイベントがユーザーに届くまで
イベントでは、ゲーム内だけでなく、ゲーム外でも楽しんでもらえるように企画をつくります。
クリエイターとしては「ユーザーのみなさまが一緒になって楽しんでいただき、世界観に没入してもらえるように。」「とにかく遊びを楽しんでもらえるように。」ということを意識しています。

簡単に表すと、以下のような3つのステップでイベントはつくられています。
まずイベントの企画案 (コンセプトや遊び) が立ち上がり、同時並行で、ゲームの見せ方(UI)と、ゲーム外の見せ方(SNSやイベントサイトなど)を考えていきます。

コロプラのゲーム開発の特徴としては、企画段階から全員で一緒に考える体制を取っていることかなと思います。ディレクター、プランナー、UIデザイナー、クリエイティブグループが一緒になって最初から最後まで企画を推進していきます。
ここからは具体的なイベントの例とともに、「企画案の考え方」「ゲーム内体験の考え方」「ゲーム外企画の考え方」の3つの裏側をまとめてみます。
1. イベント企画案の考え方
前述したように「白猫プロジェクト」だけでも、年間で20以上のイベントの企画がつくられています。
これらのイベントを整理すると、以下のような種類に分けることができます。
- 周年記念イベント (年に一度開催)
- 通常イベント (ex. 特定のキャラクターを押し出す)
- 行事イベント (ex. お正月、夏休み)

ユーザーのみなさまが飽きずにゲームを遊び続けられるよう、通常の白猫のゲーム体験に加えて、イベントという “お祭り” を定期的に開催しています。
また、白猫の楽しみ方や好きなキャラクターは人それぞれなので、たくさんの種類の企画をみなさまに届けることを大事にしています。
さらに、イベント後には、ユーザーのみなさまにどう楽しんでいただいたのかを振り返って、次のイベント企画に活かしていくことを繰り返しています。
企画の具体例: 周年記念イベント (11周年 anniversary)
白猫では、毎年7月14日に、周年記念イベントを開催しています。2025年7月14日は、11周年記念のイベントを行いました。

このイベントは「ユーザーのみなさまに11周年を楽しみ尽くしていただく」ことを目的にして企画されました。
このような周年のタイミングでは「周年記念の特別ストーリーを押し出す企画」も考えられます。
ただ、10年以上続くIPである白猫では、数年プレイしていないユーザーの方もおられます。そのような場合、「自分には関係ないか...」と思ってしまうかもしれません。私たちはそういう方も置いてけぼりにしてはいけないと考えています。
そのため、11周年という記念日をこれまでに白猫を楽しんでくれたユーザーみなさまで、誰1人取りこぼさず楽しめるように。その体験をゲーム内外からつくっていくことを目指し、「記憶に残る周年」というコンセプトで企画を考えました。

企画の具体例: 通常イベント (キラめき★陰プレッション)
周年以外のタイミングでのイベントの例として、通常イベント「キラめき★陰プレッション」の企画の考え方についてもまとめます。

このような通常イベントを企画する時の一つの考え方は「特定のキャラクターを押し出す」ことです。
10年以上続く白猫には、たくさんのキャラクターがいます。ユーザーのみなさまには、それぞれに好きなキャラクターがおられるので、常に同じキャラクターを押し出すのではなくて、まだあまり表に出ていないキャラクターもイベントで押し出していくようにしています。
特に今回の「キラめき★陰プレッション」では、まだ知られていないキャラクターの魅力をお届けすることを意識しました。
この企画に登場するシルファ、ガラティナは、それぞれ別のストーリーに登場していたキャラクターでしたが、魔法少女としての変身後の一面、別人格の一面が普段は表に出ていたので、その裏の一面を取り上げることをコンセプトとしています。

企画の具体例: 行事イベント (2025年お正月イベント)
年間スケジュールの中で、夏休み、冬休み、正月などのイベントも実施します。2025年1月にもお正月イベントを開催しました。

このような行事イベント (ex. 夏休み、クリスマス) では、基本的にクリエイティブの方向性はシンプルで、その季節・行事に合った世界観をとにかく押し出していくということを考えます。
今回の企画段階での目的は、年が明けたタイミングで、白猫を楽しみに起動してもらいたいということでした。コンセプトは「めでたさ全開!キャラと一緒に迎えるお正月」というものに設定。とにかくお正月感を押し出しました。

2. ゲーム内体験の考え方
企画を考えたあとは、ゲーム内の体験をつくっていきます。ここでは、ユーザーのみなさまにどうすれば企画のコンセプトが伝わり、楽しんでいただけるかを考えます。
ここで大切だと考えているのは「一部のユーザーの方だけが楽しめるゲーム内体験にはしない」ということです。
現在もプレイし続けてくれている方、過去にプレイしていた方など、どのような方であっても一緒にイベントを楽しめるようなゲーム体験にできるように、UIをデザインします。

ゲーム内体験の例: 周年記念イベント (11周年 anniversary)
周年記念イベントでは、たくさんのユーザーのみなさまに白猫をプレイしていただく機会になります。その中には、白猫をたくさん遊んでくれている方もいれば、久しぶりに遊んでくれる方、この機会に白猫を始める方など、さまざまなユーザーの方が来られることが想定されます。
そこで、ゲーム内の体験づくりでは、たくさん白猫をプレイしてくれている方に向けた体験と、まだ白猫を始めたばかりの方や、久しぶりに白猫を遊んでくれる方向けの体験を分けて用意するようにしました。

例えば、11周年 anniversaryのイベントでは、たくさん白猫をプレイしてくれている方向けにはあえて情報量も多めなゲーム画面を用意し、やりがい重視な画面設計をしています。

一方、まだ白猫を初めたばかりの方や、久しぶりに白猫を遊んでくれる方向けには、とにかく簡単に遊べるように、情報量は少なくタップだけでも完結するような画面を用意しました。

ゲーム内体験の例: 通常イベント (キラめき★陰プレッション)
通常イベントとして開催した「キラめき★陰プレッション」では、シルファとガラティナという特定のキャラクターを押し出していくことがテーマでした。
この2人はまだまだ押し出された機会が少なく、多くのユーザーのみなさまにとってはイベントの主役になるのは意外なはずでした。
そこでゲーム内では、イベントのメインビジュアルや事前期プロモーション用の画像で「え!この子達が?」とユーザーの方を盛り上げるところからコミュニケーションを始めます。

さらに、ゲーム内でも、最初は配信に慣れていない子達が、少しずつ人気配信者になっていく、というストーリーを組み立てました。
キャラクターが人気者になっていく様を応援しながらプレイしてもらうような体験にすることで、ユーザーのみなさまにも「一緒に成長していく」という感覚を得てもらえるようにしています。

ゲーム内体験の例: 行事イベント (2025年お正月イベント)
最後に、行事イベントとして開催した「2025お正月イベント」のゲーム内体験。このイベントのコンセプトは「めでたさ全開!キャラと一緒に迎えるお正月」でした。
そのため、ゲーム内でもとにかく華やかさを伝えられるように、イベントメインビジュアルや事前期プロモーション用画像を用意します。

実はここには、主人公、昔からの人気キャラ、これから育っていってほしいキャラクターを散りばめるようにして、現在も白猫をプレイしているユーザーだけでなく、最近白猫を遊んでいなかったユーザーの方の両方が喜んでくれることを意識しています。
3. ゲーム外企画の考え方
イベントのタイミングでは、ゲーム内の体験と同時に、ゲーム外でもイベントが盛り上がるような企画・クリエイティブをつくるようにしています。

ここでは、白猫を現在プレイしていただいている方以外にも届き、イベントを面白そうだと思ってもらえるように、さまざまなクリエイティブを用意していきます。
ゲーム外企画の例: 周年記念イベント (11周年 anniversary)
周年記念イベントとして開催した「11周年 anniversary」では、現在白猫を楽しんでプレイいただいている方だけでなく、これまで白猫をプレイしたことがあるすべての方に「懐かしさ」「思い出」を感じていただくことを重視していました。
アプリを起動する前のゲーム外でも「記憶に残る周年」というコンセプトを伝えられるような企画を用意しています。ここで強く意識しているのは、ユーザーのみなさまと一緒に盛り上がれるようにしていくことです。
例えば、その一つの企画が、白猫のこれまでの歴史を振り返れる「白猫メモリーズキャンペーン」という特設サイトです。

特設サイトには、これまでの11周年のイベントがすべてまとめられており、今はゲームをプレイされていないユーザーの方も「懐かしいな」と思えるような企画とすることを意識しました。
これはSNSと連動していて、11周年当日に向けてカウントダウン形式で、自分がよく遊んだイベントについての思い出を一緒に振り返ってもらうようなキャンペーンとして公開しました。

他にも、復帰ユーザーが楽しめるように11周年記念の特設サイトを用意したり、たくさんの連動施策を散りばめました。
結果として、ゲーム内外で一体となった周年体験が実現でき、「懐かしい」「またやりたい!」の声が多数生まれました。現在遊んでいただいているユーザーのみなさまの継続率は向上し、最近遊んでいなかったユーザーのみなさまも多数復帰することに繋がっています。
ゲーム外企画の例: 通常イベント (キラめき★陰プレッション)
「キラめき★陰プレッション」は、まだあまり目立ったことのない2人のキャラクターを押し出すイベントです。ゲーム内でも、彼女たちが配信を通して有名になっていく過程を一緒に見守れるような体験をつくっていました。
ゲーム外では、そのゲーム内の世界観をうまく届けられるように、 InstagramやTikTokなどで遊ぶ若者のような雰囲気のクリエイティブ、ノベルティのデザインに取り組みました。


キャラがバズるといいう体験を、ゲームとSNSで一体となって表現することで、結果としてユーザーのみなさまからの投稿も増え、今まで見せられていなかったキャラクターの魅力をうまく広げていくことができました
ゲーム外企画の例: 行事イベント (2025年お正月イベント)
行事イベントである「2025お正月イベント」では、キャラクターそれぞれの魅力をこれでもかと押し出していくことを重視していました。
ゲーム外でも、キャラごとのおみくじや、キャラごとの今年の抱負など、「キャラと一緒に迎えるお正月」というコンセプトを押し出した、お正月限定クリエイティブを多く用意していきました。

結果として「お祝い感」「晴れやかさ」「お祭り感」が統一された世界観で表現でき、年始からたくさんのユーザーのみなさまに白猫をプレイしていただくことができました。
白猫プロジェクトのイベントを通した反響
このような企画を通して、ユーザーのみなさまから、本当にたくさんの反響をいただいています。
イベントを通して起こった、嬉しい出来事も少し紹介します。
「白猫プロジェクト」は、実は2014年から2016年の間に遊んでくれたユーザーの方が多いのですが、このような方が、11周年のイベントを機会に、また白猫に戻ってきてくれました。さらに「懐かしい」という声をいただいただけでなく、再定着してくれて、今のストーリーを遊んでくれている方もいます。
このように、10年以上にも渡り、長く遊び続けてもらえるIPの体験を考えていけることに、クリエイターとしてとてもやりがいを感じます。
10年以上続くIPがいくつも立ち上がるコロプラ
ありがたいことに「白猫プロジェクト」は11周年を迎えました。コロプラには他にも10年以上続くIPがいくつも立ち上がっています。

このように長年遊び続けていただけるIPをこれからも増やすために、一番大事なことは「ユーザーのみなさまにどうすれば楽しんで遊んでいただけるか?」を考えることに尽きると思います。
ディレクター、プランナー、UIデザイナー、クリエイティブ本部と、組織の垣根を超えて、ユーザーのみなさまのことをとことん考え抜くことで、本当に楽しんで遊び続けてもらえるはずです。

IPやゲームタイトルごとに遊んでいただく方の属性や求めることは全く違うので、クリエイターは担当するプロジェクトごとに、どっぷりユーザーの方の思考にダイブしていくことを続けています。
今後も、たくさんの遊びを届けていくために、さらにユーザーのみなさまに向き合って、より良い体験をつくっていきたいです。