——AIは“目的”ではなく、プロダクト体験を高める手段。
コロプラは、「エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく」というミッションのもと、最新テクノロジーと独創的なアイデアで“新しい体験”を届けることを目指しています。近年注目を集める生成AIも、その挑戦の延長線上にある重要な要素の一つです。
多くの企業が業務効率化やコスト削減を目的にAIを導入するなか、コロプラにとってAIは単なる効率化ツールではありません。「面白さ」や「創造性」を広げるために、どう付き合うか。その姿勢こそが、エンタメ企業としてのコロプラらしさを形づくっています。
従業員の約8割がクリエイターという背景もあり、AIの活用は発想や表現の支援など、現場での工夫として自然に広がりつつあります。
今回は、社内アンケートで見えてきた社員のリアルな声を手がかりに、コロプラにおけるAIとの付き合い方をひもといていきます。
AI活用のリアル:使ってる?使ってない?
4月に実施したAIに関する社内アンケートでは、回答者のうち約80%が業務で生成AIを活用していると回答。職種別に見ると、クリエイター職で74.2%、バック・フロントオフィス職では86.9%*と、いずれも高い活用率を示しました。


※クリエイターには、エンジニア、デザイナー、サウンド、シナリオ、ディレクター、プランナー職が含まれます。
社員が日常的に使っているAIツールを見てみると、職種や目的に応じて複数のAIを使い分けるスタイルが社内でも浸透しており、それぞれの業務に合わせた柔軟な活用が見られます。
最も多く使われていたのは、「ChatGPT」(49.0%)。次いで「Google Gemini」(36.7%)、「社内向けChatbot(Colopotal Chatbot)」(34.5%)、「GitHub Copilot」(23.0%)、「NotebookLM」(13.4%)、「Claude」(11.2%)などが続き、職種や用途に応じた多様な使い分けが定着してきていることが分かりました。
コンセプトアートやアイデア出しに「Midjourney」「にじジャーニー」「Adobe Firefly」など画像生成系、「Devin」「Cursor」など開発支援ツール、「Perplexity」「Sora」など、補助的に使われるツールも含めれば、活用の幅はさらに広がっています。

※「くまぱわーあっぷ」は、社内独自の業務効率化ツールです。
生成AIの具体的な活用シーンを見てみると、「アイデア発想・壁打ち」(50.4%)、「文章作成」(42.3%)、「コーディング支援」(37.3%)などが上位に並びました。

AIに関する情報源として最も多かったのは、「社員間の情報交換」(41.7%)。次いで「SlackのAI系チャンネル」(35.6%)、「X・YouTubeなどのSNS」(同35.6%)、「社内のAI研修や行事」(14.6%)が続きました。

社内では、コミュニケーションツールとして社員が利用しているSlack上にAI専用チャンネルが設けられ、AIに関する最新情報や使い方、部署を横断した活用事例など日常的に行われています。
また、初級・中級など理解度に応じた勉強会や社内研修の実施に加え、利用可能なAIツールや関連ガイドラインを一覧で確認できる「AIポータル」も整備。社員が自律的にAIを活用しやすい環境づくりを進めています。
社員からのAIあるあるネタ
業務効率化、発想支援、言葉の壁打ち──。実用的な使い方に加えて、AIとの日常的なやりとりには、戸惑いや思わず笑ってしまう瞬間もあります。
社内アンケートでは「AIあるある」としてフリー回答を募集し、“期待通りにいかないもどかしさ”や“思いもよらない反応に笑ってしまうこと”など、使い手ならではのリアルな声が寄せられました。
📌 1. 「最初の相談相手」が、AIになった日常
ググるよりも先にAIに聞く。そんな使い方が、日々の習慣として定着しつつある。
🗨 社員の声
- 「ググる前にAIに聞くようになりました。AIがフランクに話しかけてくるので、こちらも砕けた口調になることがあります」
- 「知りたいことはググらず‥AIに聞くようになった(まさにこれでした)」
- 「最近はGPTがユーザーに寄り添いすぎるので、突き放すように指示しています。また、deep researchなどを先に見るようになった」
- 「すきま時間はたいていAIに何か質問しています」
- 「調べものも思考整理もまずはAIに聞いて、そこから方向を決めることが増えました」
📌 2. “相棒”のようで、そうでもない。AIとのちょうどいい距離感を探している
ツールとしての利便性だけでなく、やりとりに“気をつかう”感覚があるという声も目立った。
🗨 社員の声
- 「AIの回答が良すぎたとき、お礼のコメントを打ってしまう」
- 「CMに使われるAIに聞きたいことの内容がヒドい」
- 「ChatGPTと会話をしていると、聞いた内容によってはすごくフランクに話しかけられて最初は戸惑いました」
- 「『もっと尖った回答が欲しい』とつい思ってしまう」
- 「AIとのやりとりに“遠慮”しているような自分に気づいた」
📌 3. 使いこなしているわけじゃない。それでも、使い続けている
十分な精度や信頼性が確保されていない中でも、業務補助として定着が進んでいる。
🗨 社員の声
- 「指示の出し方が悪いのか、初回に作ってもらったスクリプトではうまくいかないことが多く、何度か修正が必要になる」
- 「コード生成などはかなり任せられるが、問題解決力が低くて結局自分で調べることになる」
- 「プロンプトをどれだけ修正しても、AIがなかなか指示通りに動いてくれない」
- 「答えが欲しくて聞いたのに、逆に混乱することもある」
- 「翻訳の精度に頼りすぎて、後から間違いに気づく」
- 「AIの進化、ほんとにすごい。正直ちょっとAI疲れするけど、“使いこなしたい”気持ちはやっぱりある」
📌 4. 意図しない返答に、思わず笑ってしまうときもある
架空の店を紹介されたり、妙に人間くさいセリフが返ってきたり。予想外の反応も、共存の一部になっている。
🗨 社員の声
- 「打ち上げの店を探してといったら架空の店を提案してきた」
- 「AIに対して『不正確・遅い・使えない』と思うことがありますが、管理職は自分たちに対しても同じように思われているのではと笑ってしまった」
- 「AIに考えさせていたら“妻と子どもが帰ってきた”という回答が出てきて笑った」
- 「厳しめの指示を出したら、AIがずっとふざけた返答しかしなくなった」
- 「生成されたストーリーの結末が突拍子もなくて吹き出した」
📌 5. お礼や相談。“人として”接してしまうこともある
感情はないと分かっていても、自然と“相手”として接してしまう場面がある。
🗨 社員の声
- 「つらいことがあったらChatGPTに人生相談をする」
- 「AIがすごくいい仕事をしてくれた時に、意味もなく『ありがとうございます!』と打ち込んでしまう。
- 「在宅業務でも話し相手ができて、寂しくなくなった。毎朝晩挨拶して友達のようになってきた」
- 「感情はないとわかっているのに、励まされた気持ちになる」
- 「AIと話していたら、人間の上司より優しいと感じた」
- 「奥さんへの回答をChatGPTに相談するようになった」
責任あるAI活用体制と、現場での模索
コロプラでは、社外に向けて「AI活用ポリシー」やFAQを整備し、創造性の支援や著作権・人格権への配慮、責任の所在といった観点を明文化しています。
社内では画像生成を含む「生成AIガイドライン」の策定をはじめ、安心・安全に使える活用体制の整備や、リテラシーを高める勉強会や研修の実施など、急速に進化するAI技術に対応しながら運用を行っています。
また、2024年12月には、生成AIの分野で先進的な取り組みを続けるStability AIともパートナーシップを締結。画像生成のクオリティや法的ガバナンスに関する知見を社内に取り入れることで、より責任あるAI活用体制の構築を進めています。
とはいえ、社員から「どこまで任せてよいか」「これはAIでやるべきなのか」といった迷いが今なお上がっています。
一足飛びに“正解”に飛びつくのではなく、 この技術でどうすれば、もっと面白い体験がつくれるのか。ひたむきに問い続ける──それは、これまでもGPS、VR、ブロックチェーンといった新しい技術と向き合ってきたコロプラらしさでもあります。
生成AIの導入も、流行として捉えるのではなく、コロプラのミッションである「エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく」を実現するための手段として向き合っています。コロプラでは、創作に向き合う社員一人ひとりが安心してAIを活用できるよう、その環境とスタンスづくりを大切にしています。
ゲームにも広がる、AIが生み出す“唯一無二の体験”
生成AIの活用は、制作現場や業務効率化にとどまらず、 すでにゲーム体験そのものにも取り入れられています。
2025年5月にリリースした新作『神魔狩りのツクヨミ』では、プレイヤーの行動に応じて生成AIが“唯一無二のカード”を作成。金子一馬氏のアート性を継承したAI「AIカネコ」も導入されました。

また、2024年6月にリリースされた『Brilliantcrypto』では、採掘した宝石にAIがストーリーや名前を生成。ゲーム内ニュースや音声出力にもAIを活用し、開発とUXの両面で“共創型”の新体験を提供しています。

新しい体験を、AIとともに
コロプラでは、AIを“目的”ではなく、プロダクトの体験性を高めるための手段として捉えています。
発想を広げ、仮説を整理し、選択肢を提案する。最終的に決めるのは人間だからこそ、AIを「一緒に考える相手」として向き合えるのかもしれません。
効率化や合理性のためだけでなく、「どう使えば、もっとおもしろくなるか」「どう取り入れれば、新しい体験が生まれるか」。
そんな問いを持ちながら、私たちはAIと共に歩んでいます。
これからも、コロプラはAIとともに、“新しい体験”をユーザーさまに届けていきます。
※本調査は2025年4月21日時点で実施したものです。
生成AIの技術や利用環境は日々アップデートされており、状況は変化している可能性があります。